設備・高度医療
院内設備 – CT検査
CT検査とは
CTはコンピューター断層撮影:Computed Tomographyの略語です。
撮影の原理としては、X線を360°方向から照射し、そのデータをコンピューターが計算し、画像化します。同じX線を使うレントゲン検査よりも、病変の部位や形状等の細かい情報を得ることができます。また、撮影後、画像処理によって、3次元に再構築することも可能ですので、どこの部位にどのような変化が生じているかをわかりやすく、映像化出来ます。
現在、本院では、64列マルチスライスヘリカルCT装置※ (PHILIP社、Brilliance 64)が稼働しており、短時間で、被爆量の少ない、正確な検査が可能です。
※64列マルチスライスヘリカルCT装置…1回のスキャンで64スライスを同時に撮影できる現在最新のCT撮影装置です。
CT検査の方法
動物は検査の間じっとしていることができませんので、撮影を行うためには全身麻酔が必要です。麻酔をかけて検査台の上に寝かせ、検査部位を撮影します。
撮影部位によっては、血管から造影剤をいれて検査することで、病変部を強調します。
撮影する条件にもよりますが、麻酔の導入を含めても平均10分程度で検査は終了します。
症例
頭部
症例1:鼻腔内腫瘍
この犬はくしゃみ、鼻出血を繰り返し病理組織学検査により鼻の『腺癌』と診断されました。
頭部を輪切りにした画像です。鼻の中は空気で満たされているため、CTでは黒くうつります。この症例では、向かって左側の鼻の中に、白くうつる腫瘍組織が確認されました(放射線治療前)。
鼻の中にできる腫瘍は、一般に放射線治療によく反応し、症状が緩和されます。この症例も放射線治療を行い、症状が消失しました(放射線治療後)。
このように放射線治療後の効果の判定にもCT検査が用いられています。
症例2:脳腫瘍
この犬は頻回の発作を主訴に来院されました。発作の頻度が増したために、頭部のCT検査を無麻酔下にて実施しました。その結果、脳の前部(嗅球)に腫瘍が見つかりました。
MRI検査を行うことで、脳の病変をより詳しく調べることもできます。(『MRI検査』をご覧ください。)
胸部
症例3:肋骨の腫瘍の肺転移
この犬は肋骨部分に腫瘤があるとのことで来院されました。レントゲン検査では、肋骨の融解像が認められ、明らかな肺転移所見は見られませんでした。腫瘍の広がりを確認し、外科手術の計画を立てること、さらに転移病巣のチェックをすることを目的にCT検査を実施しました。
肺は血管が多く、正常犬では左のような画像になります。症例3では、肺の辺縁に、血管以外に白く丸いものが多く観察されます。これが転移病巣です。
肺は様々な腫瘍が転移しやすい場所のひとつです。レントゲン検査では、小さな転移病巣は発見できませんが、CTでは微小な転移病巣も確認することが可能です。
腹部
症例4:肝臓腫瘍
この犬は元気、食欲の低下、嘔吐が認められ、血液検査で肝酵素値の上昇がみられました。
腹部を輪切りにした画像です。肝臓の中央部分に大きな腫瘍が認められます。このあと、症例4は超音波吸引装置(ソノサージ)を用い、9割以上の腫瘍の摘出に成功しました。その後元気、食欲も回復し、退院となりました。
CT検査にご興味のある方は、お気軽に受付までお申し出下さい。
獣医師がご相談にのります。